北朝鮮の歌謡曲は勇ましくて格好良いんだけど、たいてい歌詞がアレ

upload_1127

ちょっと前に韓国発のK-POPが流行った(ゴリ押しされた?)けど、北朝鮮の音楽だって全然負けてない。むしろ北朝鮮音楽、通称「NK-POP」あるいは「DPRK-POP」のほうが勇ましくて良曲が多いと思ってるのはきっと自分だけじゃないはず。

そういうわけで、今回は北朝鮮の音楽を紹介してみようと思う。歴史的な重要性とかは全く考慮せず、娯楽性というか面白さというか滑稽さというか、そういうのを重視して選曲したので、「なんであの曲が入ってないんだ!北朝鮮の歴史を語る上では欠かせない曲だろ!」って感じる人もいるかもしれない。

 

我々はあなたしか知らない

「偉大な金正恩同志 あなたに忠実であります」

偉大なる金正恩第一書記のキャラソン。張成沢が粛清された直後に発表された新しい曲。そのタイトルの通り「金正恩同志万々歳!あなたに忠誠を誓います!」みたいな内容を勇ましく歌い上げる。いかにも悪の枢軸っぽくて格好良い。

 

統一列車は走る

「汽車は行く 踏み荒らされた南を目指して」

1960年代初頭、現大統領朴槿恵のトーチャンによる独裁政治でボロボロになっていた韓国とは対照的に、金日成率いる北朝鮮がソ連の支援の下にそれなりに発展していた時代に作曲されたもの。今となっては完全に逆だけどね。

 

足取り(パルコルム)

「タッタッ タッタッタ 足取り」

金正恩第一書記に捧げられた記念すべき最初のキャラソン。自分達から「チョンチョンチョンチョン」なんて歌っちゃう面白い曲。本人たちは「タッタッタッタタ」って歌ってるつもりらしい。歌詞がシンプルかつキャッチーなので、朝鮮語が分からなくても簡単に歌えちゃう。

ラストに向かうにつれて音が大きくなっていくので音量に注意。

 

攻撃戦だ

「攻撃 攻撃 攻撃 前へ」

昭和の特撮ソングみたいな曲だけど、意外にも発表されたのは2010年っていうギャップが面白い。コンギョ!コンギョ!コンギョ~チョンニダ~!

制作した普天堡電子楽団(金正日の指示で1985年結成)はこの曲を最後に活動を休止してるらしい。そういう意味では金正日体制の終焉を象徴する曲かもしれない。そして牡丹峰楽団(金正恩の指示で2012年結成)の時代がやってくるわけだ。

 

我らの7.27

「戦友よ あの日の我らの歌をともに歌おう」

1993年、7月27日が「祖国解放戦争勝利記念日」に制定されたのを記念して作られた曲。「祖国解放戦争勝利記念日」ってのは、北朝鮮がアメリカの帝国主義を打ち負かした日ってことらしいんだけど、要は朝鮮戦争の休戦協定が結ばれた日のこと。

非常にどうでも良いんだけど、朝鮮語で「7.27」は「チリチル」って発音するらしい。これを頭に入れてサビを聞いてみよう。絶対「チリチル」になんて聞こえないから。

 

将軍様、縮地法を使う

「東にキラリ 西にキラリ 天下を自由自在」

金正日は縮地法の使い手らしい。縮地法ってのは瞬間移動のこと。こんな曲を歌わされる普天堡電子楽団のボーカルには心中をお察ししてもしきれない。

 

あなたがいなければ祖国もない

「民族の運命 金正日同志」

偉大なる金正日総書記のキャラソン。有名な曲なので今更語るまでもない。「あなたがいなければ(こんな)祖国もない」とか「あなたがいるから祖国がこんなだ」なんて言っちゃいけない。そもそも北朝鮮を作ったのは金日成だろ!とかそういうツッコミも無しの方向で。

 

社会主義を護ろう

「我が党が一番で 社会主義が一番」

1991年、ソ連が崩壊した年に制作された曲。たとえソ連が崩壊したとしても、我々は悪魔の資本主義への抵抗をやめないぞ!っていうメッセージが込められているかどうかは定かじゃないけど、北朝鮮指導部の焦りはなんとなく感じられる。

 

一気に

「打撃目標も一気に 敵艦突入も一気に」

お前らタンスになんか恨みでもあんのかよって曲。例によって古臭い曲調なのに2009年制作っていうギャップが面白楽しい。

 

我らの金正日同志

「人民を先生と呼ぶ方 その先生の恩師は金正日同志」

歌詞が面白い。ひたすら人民を褒める。人民は賢い。人民は神だ。そしてその素晴らしき人民達が崇める存在が偉大なる金正日同志だ!っていう曲。

 

我らの親善永遠なれ

「金正日 プーチン プーチン 金正日」

数ある北朝鮮音楽の中でも異色の曲。「金正日 プーチン プーチン 金正日」をひたすら連呼する歌詞の通り、北朝鮮とロシアの親善を歌っているらしい。ちなみに作曲者はロシア人。

2016年現在、北朝鮮とロシアの関係は悪くないみたいだけど、今後両国の関係が悪化することがあれば、きっとこの曲はお蔵入りってことになるわけで。将来的にレアな存在になる可能性がある曲である。

 

最高司令官同志の健康を祝賀する

「将軍様の安寧のためなら 火の中でも笑いながら飛び込む」

1992年制作。朝鮮人民軍最高司令官に就任した金正日同志を称える歌。数ある金正日同志のキャラソンの中でも、歌詞のカルト具合は最強クラスだと個人的に思う。兵士達は金正日同志の姿を見るだけで元気付けられ、そして火の中に飛び込んでいく。

 

党中央のともしび

「秀でた英知で明るく輝く その名は金正日同志」

また古臭い曲調だなぁと思ったらそれもそのはず、今度は本当に古い曲だ。1980年制作。

党中央のともしびってのは、金正日同志の執務室の明かりのことなんだとか。つまり「我らの金正日同志は夜遅くまで働いてますよー」って曲らしい。

 

朝鮮人民軍歌

「帝国主義侵略者をすべて打ち払おう」

1968年制作。北朝鮮の軍歌の代名詞的な曲。軍事パレードなんかではしょっちゅう演奏されてるから、きっと聞いたことのある人も多いはず。

 

捧げ銃

「不敗の党軍を育てた名将 金正日将軍を敬い」

読みは「ささげ じゅう」じゃなくて「ささげ つつ」。いわゆる銃を持って行う敬礼のことなんだけど、この曲に限ってそんなことはどうでも良い。とにかく聴いてみよう。「金・正・日・同志!万歳!万歳!万歳!」の掛け声が気持ち良い。これはきっと金正日の応援歌なんだ。

 

あの日の兵士を見よ

「祖国のため ただひとつの命を捧げ」

1996年制作。正式な邦題は「その日に兵士を見よ」らしいけど、ネット上ではもう既に「あの日の兵士を見よ」で浸透しちゃってるので、当ブログでも後者で紹介しようと思う。

 

金日成大元帥万々歳

「人民は挨拶を申し上げ 栄光を捧げる」

1992年制作。金日成に大元帥の称号が授与されたのを記念して制作された曲。ひたすら「マンセー」を連呼し、ついには日本でいう万々歳みたいなノリで「マンマンセー」なんて歌っちゃう。正直冗談にしか聞こえない。

 

飛行士の歌

「われらの翼の下には平壌がある」

そのタイトルの通り元は重厚な軍歌なんだけど、牡丹峰楽団がアレンジするとこんな軽快な歌になってしまうっていう一例。普天堡バージョンもどっかで聴いた覚えがあるんだけど、Youtubeでは見つからなかったなぁ。

 

銀翼

「我らは金正日将軍の勇敢なる航空隊」

これも空軍関連の歌。飛行士の歌の「人民達を守るぞ!」っていうノリとは対照的に、こちらは「我らは偉大なる将軍様を守るぞ!」っていう曲。こんな曲にまで金正日の名前が出てくるのが北朝鮮らしいというかなんというか。

 

突破せよ、最先端を

「CNCはチュチェ工業の威力 CNCは自力再生の模範」

2010年制作。この曲は知ってる人も多いかもしれない。歌詞の中に「プログラム」とか「CNC」とかそういう北朝鮮っぽくない単語が登場する。アナログな20世紀的工業国の姿が歌われる曲。CNCごときで科学技術強国を自称しちゃう北朝鮮の実情が涙を誘う。

 

あの方だけを想う

「星が出る夜 眠りにつくときもあの方だけを想う」

最後はちょっとしんみりした曲を紹介してみる。

1995年制作。あの方ってのはもちろん偉大なる金正日同志のこと。金正日同志が人民の幸せのために忙しく働く姿と、そんな将軍様を想う人民達の姿が歌われている。「仮眠しかできないまま夜明けを迎えた」とか「朝早く我らの職場を訪ねてきた」とか、そういう嘘くさい歌詞が楽しい。

 

あとがき

記事の冒頭でも書いたけど、今回は曲そのものの良さを重視して選曲したので、「どうして愛国歌や金日成将軍の歌が入ってないんだ!北朝鮮史を語る上では外せない曲だろ!」なんて思った方もいるかもしれないけれど、それはそれってことで。

(C) 2013-2017 これは放熱ダクトですから!